その美しい姿で人気の熱帯魚。
今はホームセンター等で簡単に購入できるので自宅で飼育している方も多いと思います。
そんな熱帯魚も人間や他のペットと同じく体調を崩したり、病気になってしまうことがあります。
熱帯魚がいつまでも元気でいられるように、正しい管理の方法と病気についての知識を得ておきましょう。
目次
熱帯魚の病気の症状と対策
熱帯魚が罹る代表的な病気の症状と、その対策について解説します。
白点病
観賞魚が一番かかりやすい病気で、熱帯魚の病気の8割以上がこの白点病っていうくらい多い病気です。
繊毛虫(ウオノカイセンチュウ)が寄生することによって引き起こされる病気です。水温が下がったときなどに発生しやすくなります。
症状:体表に直径1mmくらいの小さな白い斑点が現れて、放置しておくと死亡してしまいます。
発病すると魚が水槽の側面や底面、エアーポンプなど身近な物に体を擦りつけるような行動をとります。
治療:病気の原因の繊毛虫は高温に弱い為、水温を28℃~30℃くらいに少しずつ上げる。隔離した水槽に「メチレンブルー製剤」や「グリーンF」などの薬を適量の水に溶かし、その中で一週間程度薬浴する。
白点病は感染しやすいので一匹見つかったら水槽全体に広がっていると思ってください。
寄生虫病
魚の体表に外部寄生虫が寄生することによって引き起こされる病気。
イカリムシ病
イカリムシという体長10ミリ前後の虫が寄生して起こる病気です。イカリムシは頭部の形が船の碇のように見えることからきていて、その碇状の頭を魚の体表に突き刺して寄生します。
症状:衰弱して元気がなくなります。見た目は糸状のもの(イカリムシの体部分)がぶら下がって見えます。
治療:イカリムシをピンセットで取り除き、メチレンブルー製剤の原液やリフィッシュで傷口を消毒しましょう。
ウオジラミ病
魚のヒレの付け根に寄生し、魚の血を吸うだけではなく毒素も出します。
症状:皮膚がただれてしまいます。砂や水槽内の物に体を擦り付ける動作をします。(イカリムシも同様です)
治療:イカリムシと同様に取り除いてから消毒しましょう。
水性菌病
別名「水カビ病」。外傷に水中の藻菌類が付着し、繁殖することによって起こります。
症状:発病部位が白い綿をふいたようになります。放置すると出血をしたりヒレが腐りだして、やがて死に至る。
治療:水槽にニューグリーンFを入れ、さらに患部にもニューグリーンF、グリーンFリキッドなどを塗っておきましょう。
口グサレ病
滑走細菌の一種「フレキシバクター・カラムナリス」という細菌によって口が腐る病気。
とても進行が早く、放置していると水槽内の魚が全滅する恐れがあります。
症状:魚の口に水カビと同じような白い綿毛のようなものがつきます。進行すると壊死してしまいます。
治療:グリーンFゴールド、ハイトロピカルなどで薬浴させましょう。
尾グサレ病
口ぐされ病と同様に細菌が侵入することによって発病。水温の低下や水質の悪化時に発生しやすくなります。
症状:尾やヒレが白っぽくなっていき、放置していると徐々に腐っていきます。
治療:水槽にグリーンFゴールド、ハイトロピカルなどを入れて薬浴。
脂肪変性病
エサのビタミン不足や古いエサ、質の悪いエサを食べ続けた時などに発生しやすくなります。
症状:体が黒ずんで、動きが鈍くなり水底で動かなくなってしまいます。
治療:鮮度や栄養価の高いエサに変えてあげましょう。
背こけ病
内臓疾患が原因と言われています。背びれのつけ根が窪み、肉が落ちてしまいます。
症状:衰弱して元気が無くなり、餌も食べなくなってしまいます。
治療:ビタミンが豊富な餌を与えて食欲を回復させてあげましょう。
サイクロキューター病
サイクロキューターという繊毛虫が魚に寄生して発生する病気。水の汚れを放置したり、水槽の中に魚を入れすぎて過密状態になっていると発生しやすくなります。
症状:魚の体表に血が滲んだような斑点が現れます。
治療:白点病と同じくグリーンFなどで薬浴させて、病原虫の駆除を行いましょう。
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立鱗病(松笠病)
ウロコが立ち上がってしまいます。細菌が原因。
症状:ウロコが立ち上がり松笠のようになります。徐々にウロコが剥がれていき死に至る。
治療:グリーンFゴールドで薬浴させましょう。病状が悪化してしまうと完治が難しいとされています。
肝臓病
肝臓にグリコーゲン(糖質)が溜まって起こるといわれています。
症状:体が腫れてきます。
治療:餌のやり過ぎによる食べ過ぎ、栄養過多を防いで粗食に切り替えましょう。
外傷
熱帯魚の体の粘膜はちょっと何かにこすれただけで、すぐに傷になってしまうくらい繊細です。
たかが擦り傷と思うかもしれませんが、傷を放っておくと、そこにカビや細菌が付着して他の病気を引き起こすことがあります。傷を見つけたらすぐに手当てをしてあげましょう。
治療:メチレンブルーなどの薬を水に溶かし、怪我をした熱帯魚を数分(5~10分)くらい泳がせましょう。
熱帯魚の病気判別表
熱帯魚の病気は魚の体の変化や行動から病気を判別することができます。
体の変化 | 病名 | 行動 |
---|---|---|
白い斑点が現れる | 白点病 | 体を物にこすりつける |
エラやヒレに虫がわく | 寄生虫病 | |
白いカビが生える | 水性菌病 | |
口が腐る | 口ぐされ病 | 元気が無くなる |
ヒレが腐る | 尾ぐされ病 | |
鱗が松笠のように膨らむ | 立鱗病 | |
背中がくぼむ | 背こけ病 | 動きが緩慢になる |
体が黒ずんでくる | 脂肪変性症 | |
赤い斑点が出る | サイクロキューター病 | |
体が腫れてくる | 肝臓病 |
※ 病気の進行度(重症度)や個体差などによって変化や行動が違う場合もあります。
熱帯魚を病気から守ろう
熱帯魚の病気のほとんどは寄生虫や細菌が原因です。
また一度病気にかかると自然には治りにくく、放置しているとドンドン悪化していき治療が出来なくなってしまうこともあります。
水槽の管理で病気を予防しよう!
他の魚にうつりやすく、治り難い、熱帯魚の病気を予防には水槽の日頃のメンテナンスや観察がとても大切です。
特に注意すべきは次の3つのポイントです。
① 水替え時以外でもエサの食べ残しやフンは定期的に取り除いて水槽内の水を綺麗に保ちましょう。
② 新しい魚を増やす際や、生餌を与えるときなどに病原菌を水槽内に持ち込まないように気をつけましょう。
③ 熱帯魚の体は繊細で傷つきやすく、病気がうつりやすいです。病気の魚を発見したら直ぐに隔離して他の魚を守りましょう。
熱帯魚が健康的に過ごせるかどうかは管理している貴方次第です。
飼い主の義務として魚達に良い環境を提供してあげてくださいね。
熱帯魚の病気は早期発見が大事
熱帯魚がかかるほとんどの病気は早期に発見して適切な治療を施せば治すことができます。
ですが逆に飼い主である貴方が発病に気付かないで長期間そのまま放っておくと、軽い病気でも手遅れになることもあります。
熱帯魚の体表に異常箇所や変形がないか、泳ぎ方がおかしくないか等を常に観察してあげてください。
病気の対処法として塩水浴(塩浴)も効果的なので試してみてはいかがでしょう。
塩浴の記事はコチラ→「弱った金魚への特効薬は塩!?塩浴をしてみよう!」
まとめ
熱帯魚に限らず生き物を飼うということは、その生き物の大切な命を預かるということです。
病気だからといって自分の不調を訴えたり、薬を飲んだりすることの出来ない水槽の魚達にとっては、飼い主である貴方が唯一のドクターです。
他の誰でもない貴方がしっかりと魚達の健康を管理してあげましょう。
貴方がしっかりと魚達の為に良い環境を整えてあげれば、魚達もそれに答えていつまでも美しい姿を見せてくれることでしょう。